アート

混ぜすぎた美術史 79 ~松本俊介

松本俊介(1912–1948、日本) 静かな都市、傷ついた近代――人間をもう一度見つめるために 戦後日本の美術を語るとき、松本俊介ほど静かな画家はいない。 幼い頃に聴覚を失った彼は、世界を音ではなく、形や光、距離によって...
アート

混ぜすぎた美術史 78 ~戦後日本 ― 焼け野原から世界を描く

美術は何を取り戻そうとしたのか 1945年、日本は敗戦を迎えた。 都市は焼け野原となり、それまで信じられていた価値観は崩壊した。天皇を頂点とする国家の理念も、近代化を支えてきた成功の物語も、大きな問い直しを迫られることになる。...
音楽

リック・ロス『Teflon Don』─ 虚構は、世界を編集する

ヒップホップでは、リアルであることが長く価値とされてきた。 どこで育ち、何を経験し、どんな生活を送ってきたのか。その人生そのものがラップの説得力になる。だからこそ、多くのラッパーは、自らの現実を武器として語ってきた。 しかし、...
音楽

2 チェインズ × リル・ウェイン『ColleGrove』─ 完成した形式は、対話によって再び動き出す

ヒップホップでは、新しいフロウや新しいサウンドを獲得することが創造だと考えられがちである。しかし、長いキャリアを積んだラッパーにとって、創造とは必ずしも新しい技法を発明することではない。 むしろ、自ら築き上げた形式を、他者との対話の...
音楽

バンB『Trill』から『横綱』へ  ─ サウスの身体性、日本的受容

形式の編集としての創造 バンB(Bun B)の『トゥリル(Trill)』(2005)は、南部ヒップホップの熱や湿度を、その土地だけの感覚から、誰もが共有できる「形式」へと変えた作品だった。重厚な低音と艶やかなシンセの上を、バンBは一...
コラム・アート概論

コラム37:世界への触れ方──形式・認知・AI時代 Ⅲ

後編 AI時代の絵画──遅さが生む認知 画像生成AIやデジタルツールの発達によって、イメージはほとんど瞬時に生成され、制作のプロセスは極端に短縮された。こうした高速化は創造の自由を広げるように見えるが、その裏側には別の工芸化が潜んで...
コラム・アート概論

コラム36:世界への触れ方──形式・認知・AI時代 Ⅱ

中編 技術の工芸化、概念の工芸化 芸術はしばしば「新しい認知」を生み出す営みとして語られる。しかし、その新しさも時間が経つにつれて制度化され、やがて再現可能な技術へと変わっていく。写実絵画では、構図や描写力、色彩の精度、完成度が評価...
コラム・アート概論

コラム35:世界への触れ方──形式・認知・AI時代 Ⅰ

前編 世界に触れる方法としての形式 芸術とは、世界への触れ方を発明する営みでもある。 人は世界を認知し、その認知を形式として定着させることで、新しい世界の見え方を他者へ開いてきた。 世界をどのように認識するのか。その認知...
アート

混ぜすぎた美術史 77 ~芸術とは何か ― デュシャンが開いたもう一つの扉

芸術とは何か―― デュシャンが開いたもう一つの扉 20世紀の美術を振り返るとき、多くの分岐点が存在する。 セザンヌは見える世界を、単純な形や面の集まりとして捉え直した。 出典:Artpedia/ポール・セザンヌ「サントヴ...
アート

混ぜすぎた美術史 76 ~ヘンリー・ダーガー

ヘンリー・ダーガー(1892–1973、アメリカ) 誰にも見せることのなかった宇宙 ヘンリー・ダーガーは、美術運動にも画壇にも属さなかった。 孤児院で幼少期を過ごし、その後は病院の清掃員として働きながら、質素な生活を送り...
タイトルとURLをコピーしました